9月定例会最終本会議において、京都市職員の前代未聞の不祥事に対する決議を公明党京都市会議員団は提出しました。その折、日置文章団長提案理由の説明を行い、私が賛成討論を行いましたので、賛成討論の全文(趣旨要約)を紹介します。
---大道義知の公明党決議案の賛成討論---
私は、公明党京都市会議員団が提案しております「京都市職員の前代未聞の不祥事に対する決議(案)」に対して、討論を行うものであります。かえりみますと、京都市職員による不祥事件は、市長部局だけでも、桝本市長就任後、毎年続出し、この10年間でその数、実に200件を超え、逮捕者は62名にも上るという、まさに異常な事態といわざるを得ません。とりわけ本年4月に入ってから発覚した環境局職員の覚醒剤使用による逮捕事件、そして生活福祉の現場である福祉事務所で発覚した生活保護にかかわる公金詐取および窃盗事件は、環境先進都市さらには、福祉先進都市を目指して一生懸命に頑張ってこられた職員や、市長に協力して歩んでこられた市民の皆さん、そして私たち議会の努力を、すべて無にするものであり、その市の責任は極めて重大であります。
また京都市は、本年6月後半から約1ヶ月間を、「服務規律等強化月間」として、不祥事根絶に取り組まれましたが、その最中にあっても、犬猫等死獣収集職員の手数料着服事件が発覚するなど、一向に不祥事が絶えず、「不祥事は氷山の一角」と市民から言われても仕方がない状態であります。
桝本市長は、毎年の「市長訓示」で、職員に対して「不祥事根絶」を何回も訴えてこられました、しかしながら公務員として遵守すべき義務が守られず、社会人としてあるまじき「前代未聞の行為」の数々が、依然として根絶できない実態は、市長がおっしゃるように、もはや一部の職員の問題にとどまらず、京都市の組織自体の構造的な問題であるといわざるを得ません。市民に奉仕すべきすべての職員は、一人の職員の不祥事が、2万人もの職員を抱える京都市組織を崩壊させ、147万人市民の心に不名誉な傷を負わすことを、心の底から感じるべきであります。一度失墜した信頼を回復するには長い年月がかかります。まさに「建設は死闘、破壊は一瞬」であります。このことを市長並びに全職員は肝に銘じなければなりません。
私たち公明党市会議員団は、こうした事態を重く受け止め、他会派の皆さんとともに、本日まで常任委員会をはじめ、本会議における代表質問や、不祥事調査特別委員会を通じて、今日までの不祥事の実態や再発防止策をはじめ、市長が示された「信頼回復と再生のための抜本改革大綱」の取り組みなどについて、不祥事根絶を願いながら、集中的な審議を行ってまいりました。
こうした中にあって、桝本市長が並々ならぬ決意で、同和施策であった「優先雇用」に対し、市長自身が踏み込んだ総括をされ、ごみ収集業務の50%委託化の計画的実施をはじめとして、具体的な改革に向けての数値目標を示されるなど、かつてない「改革案」をスピーディに提案されたことを、私たちは一定の評価をするものであります。
しかしながら、今回の調査特別委員会の審議において明らかになったことは、幹部職員の不祥事に対する認識の甘さであり、未だ「身内に甘い」という体質が抜けきれておらず、さらには家庭ごみ有料化導入におけるお試し袋の未配布に見られるように、まさに公務員としてのプロ意識の欠如を露呈する形になったということであります。さらに、「抜本改革大綱」の実効性についても、環境局の業務及び組織の改革や、市民と一番密着する出先機関である区役所改革の見通しなど、未だ多くの課題を抱えているという実態が浮き彫りになったということであります。こうしたことは、10月2日の調査特別委員会の市長総括質疑でも、「身内を守る甘い体質は抜けきっていない。信頼関係は地に堕ちた」との中村安郎自民党議員団長の厳しい意見や、「市長の決意とは裏腹に、理事者の熱意があまり感じられず、これで本当に根絶できるのか不安を感じる」との山口幸秀民主都みらい議員団長の意見にも象徴的に現れております。
桝本市長の使命と責任は何か。今何を成さねばならないのか。その答えは明白であります。それは言うまでもなく、共産党の言うように、直ちに責任をとって辞職することではなく、市民の信頼回復に向けて、現場第一主義に徹し、「抜本改革大綱」を強化し、膿を出し切るまで断固たる決意で目指すべき改革を実行することであります。その意味でも厳しい決議ではありますが、この「決議」の趣旨を深く認識し、襟を正して新しい改革への挑戦に船出すべきでなのであります。
地下鉄建設費膨張問題で、平成6年7月に開会された臨時市会でも、当時の理事者に対し猛省と再発防止を求める「警告の決議」を与党会派で議決いたしました。今回の不祥事はそれ以上の京都市政の根幹を揺るがす重大事であり、京都市会としても不祥事根絶のために全会一致で、この警告決議を採択すべきなのであります。同和問題完全終結を求め全会派一致で採択した「市会決議」のように、市会決議は極めて大きな意味をもつものであります。今、京都市会が成さなければならないのは、辞職勧告ではなく、再発防止のための「警告の決議」を採択し、市民の願いに応えることであります。
公務員の不祥事問題は、今や京都市だけではなく、大阪市や福岡市、岐阜県など、全国の多くの自治体で起こってきており、社会問題化しています。こうした時代情況の中で、京都市会として不祥事根絶に向けて「警告の決議」を議会としても襟を正して採択することは極めて重要な意義があるのではないでしょうか。
今般、地に堕ちた市民との信頼関係を取り戻すため、引き続き京都市職員の服務規律に関して調査点検する目的で、このあと設置されることになっている「市民の信頼回復と服務規律に関する調査特別委員会」は、従来の特別委員会とは趣を異にし、副市長や服務監等関係する理事者の出席を求めており、市長をトップとする改革大綱推進本部の取り組み状況を常に、議会としてチェックできる権能を有しております。今後は不祥事ゼロを達成するまで、委員会を継続することになるでありましょう。公明党京都市会議員団としても市長与党の要として、市民の信頼回復と不祥事根絶に向けて全力で取り組む決意であります。
大企業の企業倫理の欠如による不祥事が後を絶たない中で、今、自治体にもその波が押し寄せてきてます。その原因は、組織の隠ぺい体質であり、幹部の責任回避であり、人事面など組織における危機管理の無さであり、そして何よりも経営者自身の哲学の無さに尽きます。それとは逆に、時代に対応し、いきいきと再生している組織は、すべてリーダーおよび幹部職員が『現場主義』に徹しているということであります。『現場組織』にこそ改革の知恵があります。『現場組織』にこそ京都の未来があります。再生に向けた改革が、「現場からの改革」「下からの改革」であることを願うものであります。市役所の組織は誰のためにあるのか。お役所のための組織ではなく、市民のためであります。市民のための組織構築が京都市再生の鍵であります。
先ほど共産党の加藤広太郎議員から、不見識な発言がありました。「皆さんとごいっしょに」と声だかに叫びながら独善主義で市政を今日まで混乱させてきたのは、共産党自身ではありませんか。今しなければならないのは、抜本改革を実行ならしめることであります。「改革に背を向ける共産党」「改革案に賛成できない共産党」に市長の辞職勧告をする資格はありません。共産党に猛省を促すものであります。桝本市長には、現場主義に徹する市民の側に立つ改革の市長として、信頼回復のために、死力を尽くして改革に取り組んでいただきたいことを最後に求め、議員団代表しての賛成討論をいたします。