世界的にみると公務員の倫理を独立した法律などで法制化しているは、アメリカ、大韓民国、そして日本と言われています。公務員倫理について法制化しなければならない社会を考えると情けない気もします。平成11年10月に国レベルの公務員幹部の研修会で「幹部行政官に語る」と題して講演した堀田力氏(弁護士・さわやか福祉財団理事長)は、公務員倫理の確立のために必要な12のポイントを提起し、常日頃その点を留意しなければなならないとしています。
ポイント①・・・自分の感覚(倫理観)は当てにならないということを自覚していること。「国民一般の感覚とズレがないか常日頃自戒することが大切」
ポイント②・・・幹部自ら倫理の講義を行うこと。「部下職員に倫理の話をすることは自省自戒の良い機会」
ポイント③・・・若い頃の感覚(正義感など)を忘れないこと。「公務員になったころの感覚を思い出し、原点に戻る」
ポイント④・・・贈られた物を返す仕組みをつくること。「送り返すということが職員の負担にならないようにする」
ポイント⑤・・・ルールを明確にして、ルールを盾に断りやすくすること。「個々の公務員に断るか否かの苦しい判断を強いない」
ポイント⑥・・・夜の会合は控え、勤務時間内ですませること。「相手にこの人は酒、金に弱いか、遊び、異性、賭け事が好きか、家庭に悩みをもっているかなどのスキを見せない」
ポイント⑦・・・政治家との付き合いのルールをつくること。「政治家は、行政の役職についていなければ民間人と同じ。公務員倫理法の外にいることを留意する必要がある」
ポイント⑧・・・官庁間での付き合いのルールをつくること。「査定する側と査定される側の関係から倫理が崩れる」
ポイント⑨・・・お金の流用が生じやすい現行予算の仕組みを見直すこと。「部内での不当なお金の使用の原因をなくす(余った予算を返上しても不利とならない仕組みなど)」
ポイント⑩・・・行政には常に「利益の衝突」が伴う、という感覚が必要であること。「保護してやる、面倒を見てやる、という意識で行政サービスの受けてと一体化しない」
ポイント⑪・・・早期退職の弊害を改め、退職管理をきちんとすること。「業界に借りを作らない」
ポイント⑫・・・人を活かす人事管理でプロ意識を確立し、顔の見える行政を行うこと。「権限をもつ職場の士気が低下していると不善をなす」
以上の12のポイントは、当時公務員と業者との癒着や談合が横行する事件が背景にありますが、現在の京都市においてもこうした規範を明確にし市民に対し襟を正すことが重要です。
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