昨今論じられる「二大政党制」は、いわゆるtwo-party systemと訳される。これは「二党制」と本来訳すべきもので、ことさら「大」を付けることもないと私は思っている。そこで「地方政治の政党化」というテーマに言及したい。そもそも国政選挙においては、小選挙区制や比例代表制をミックスした制度になっており政治家自身の名前と政党を選択する2つの票を国民に与えているが、地方政治の選挙制度は、市会議員候補「○○」であり、市長候補「□□」というように、政党枠といわれる政党の票は住民には与えられていない。ただ「●●党公認」「▲▲党推薦」だけである。今国政におけるいわゆる二大政党化の流れの中で、地方政治にも影響があると論じられてきている。
神戸学院大学の中村宏教授は、この点において「地方政治の政党化は望ましいことなのだろうか」「地方選挙の政党化は望ましいことなのだろうか」「地方選挙は事実としては、政党化し、また二大政党化しているのだろうか」「日本ではなぜ、政党化は望ましいという論調が有力であり続けているのだろうか」という4点にわたる問題提起を行い論じている。教授は、地方政治での政党対立は、コミュニティの一体感を損なうことや、地方議員の非政党化の流れが今後ますます顕著になってくることを指摘している。また日本政治は英国の政党政治がモデルであったが、時代とともにそのあり方が大きな転換期を迎えており、今後地方政治も地方選挙も非政党化してくべきではないかとし、「地方政治にとって政党化というものは、必要悪であっても、イデアではなかろう。むしろ地方政治は非政党的、少なくとも非中央政党的であることこそが望ましい」と、地方政治の非政党化についてその必然性を断言している。さらにそれであってこそ真の地方分権や地域社会の活性化も見えてくると結論づけている。その意味でも、明年の京都市長選挙は、市民にとって「新たな地方政治のあり方を創造」する大きな転換点になるだろう。